share-knowledge’s diary

論文やニュース等で私が面白いと思ったものをアップしていきます。

フリーメイソンとは

フリーメイソンというと、何やら怪しげな秘密結社というイメージがありますが、ロンドンのコベントガーデンには英国フリーメイソンの総本山であるFreemasons'Hall (フリーメイソンズホール)があります。このFreemasons's Hallは1933年に建てられたアールデコ調の建物であり、中にはフリーメイソンにまつわる博物館と図書館があります。無料で観覧できることもあり、見学したことがありますが、もっと怪しげな博物館かと思ったのですが、スタッフはとてもオープンマインドであり、隠れた見どころでは無いかという感想を持ちました。なお、フリーメイソンは所属する会員のことを指し、結社の本当の名称はFreemasonry(フリーメイソンリー)なのだそうです。というわけで、以下では組織名はフリーメイソンリーを使用します。

ではフリーメイソンリーとは何なのでしょうか。もしかしたら、やっぱり秘密結社でしたという可能性もゼロではありませんが、ここでは博物館等で得た知識ベースで紹介します。
世界中にフリーメイソンは約600万人いるようですが、英国のフリーメイソンリーは25万人の会員と8000のロッジ(支部)を所有しています。フリーメイソンの会員の目的は様々のようで、交友関係を拡げることが目的である会員もいれば、フリーメイソンリーを通じて社会に貢献したいというものもいるとのことです。フリーメイソンリーは世界で最も古い、無宗教、ノンポリ、友愛組合、チャリティー団体
であり、人種、肌の色、宗教、イデオロギーや社会的地位に基づく差別は一切ないと主張しています。
なかなか不可思議な組織なのですが、このフリーメイソンリーがいつ、どこで、どのようにして設立されたかはいろいろと議論があるようですが、一般的なコンセンサスは、中世の教会や城などを建てたStone mason(石工)の組合が発祥だそうです。その後、ロッジ(支部)が石工以外のものも組織に入ることを認め、例えば、スコットランドの政治家・軍人であったRovert Morayも1641年にニューカッスルにおいて、フリーメイソンになったとされています。
その後、1717年に4つのロンドンのロッジが集まり、自らをグランドロッジを名乗り、グランドマスターを選ぶと宣言しました。これが世界で初めてのグランドロッジであり、定期的な会議や活動規範のルールブックが発行されることとなりました。
他方で、"Ancients Grand Lodge"と称するグランドロッジがロンドンに設立されたこともあり、60年間にわたり二つのグランドロッジが存在する状態となりましたが、1813年に統合され現在に至るようです。
というわけで、秘密結社というよりは社交クラブという印象が強いフリーメイソナリーですが、その活動は多岐にわたるようです。会員同士の社交を深めるために、毎月のパブでの飲み会やピクニックなども行うようです。また、フリーメイソンズホールではファッションショー等のイベントが行われ、チャリティー活動も行っているようです。
やはり秘密結社というよりは社交クラブという言葉のほうがしっくりくるのですが、
会員になるには社交クラブと同様に各ロッジのフリーメイソンたちからの推薦が必要なようです。そもそも日本でフリーメイソンを名乗る人に会ったことが無いので、どうやって推薦を取るのでしょうか。。こればかりはよく分かりません。

目標設定理論(Goal setting theory)とは

目標を設定することにより、人のモチベ―ジョンが向上し、パフォーマンスが上げるとされており、組織心理学の分野では長い間研究されてきました。
Loche and Lathan (1990) によれば、困難でありかつ明確な目標は、簡単であり曖昧な目標もしくは目標がない場合よりも、より高いパフォーマンスに繋がるとします。他方で、簡単な目標は、高い満足度を示すことも主張します。したがって、簡単すぎず難しすぎない水準に設定することが重要なわけです。
また、目標の水準を継続的かつ段階的に上げていくことが、目標設定において最も重要となります。トヨタの”カイゼン”はまさにこの原理に基づいたものだと考えれます。















中国:Pessoptimist nation

William CallahanのPessoptimist nationの興味あるところのみを抜粋して記載。

〇中国の外交政策の楽観論:中国の対外政策の目的は、多極化を達成すること、責任ある大国になること、平和的台頭、平和的発展及び調和のある世界を作ることである。したがって中国は脅威ではない。中国は現状維持を変更しようとするよりむしろ、国際システムの中に取り込まれつつある。

〇中国の外交政策の悲観論:中国は”国辱”のような暗黒面を有する。中国の外交政策の核にはアイデンティティジレンマが存在する。国際的地位の向上は中国外交の主要課題の一つであるが、これは中国のみで達成するというよりはむしろ、国際社会が中国をどのように認識するかによる。

〇中国のアイデンティティと安全保障は”国辱”と”中華文明という過去の栄光”の両面により成立する。

〇中国の政策と大衆の感情はすでに捻じれあっており、中国のナショナリズムは今や誰にもコントロールすることはできない。

T検定とZ検定の違い

選挙でどの政党が人気があるのかを調べたいと思った場合、1億2千万の日本国民全員を調査することは現実的ではありません。そこで、国民の一部のみ(例え ば1000人程度)を調査することで、その傾向を理解しようとする方法が、統計学であり、そこで使われる調査方法がT検定とZ検定です。

T検定はGossett氏が導入したことから、彼のペンネームをとってスチューデントのT検定とも呼ばれます。帰無仮説が正しいと仮設した場合に、T分布に従うことを利用した検定方法です。他方で、Z検定の場合は、正規分布を用いて、標本の平均と母集団の平均が統計学的に有意に異なるかどうかを調査するための検定方法です。

T検定とZ検定の違いとしては、Z検定は二分変数(Dichotomous variable)が変数の対象ですが、T検定は連続変数(Continuous variable)が対象となっています。二分変数とは、例えばYesかNoかといった2つしか回答が無い場合の変数です。連続変数は例えば収入のように明確に分けることができないような変数です。また、Z検定が比率を比べることで検定する一方で、T検定は平均値を比較することで検定します。

LMX(リーダー・メンバー交換)理論

LMXとはLeader-Member eXchange の略称です。LMX理論はリーダーとメンバーとの関係に着目した理論です。リーダーとメンバーを様々な取引関係からなると考えます。そのため、リーダーがメンバーと望ましい関係を発展させるかたちで、リーダーシップが発揮されるとします。では、どのようにリーダーとメンバーの関係性を評価できるのでしょうか。Tekleb & Taylor (2003) は、リーダーとメンバーが互いの責務を実行できているかどうか、リーダーとメンバーのPsychological contract (心理契約)すなわち、メンバーがリーダーは契約した約束を守っていると信じているかどうかで評価しています。Garen & Uh-Bien(1995)によると、LMXの質が高ければ、メンバーの離職率を抑えられ、高い成果をもたらす。他方で、LMXの質が低い場合には、その成果は低くなるとのことです。

なお、このLMXで着目される概念がin-group(内集団)とout-group (外集団)という概念です。メンバーがリーダーとの関係は、組織の規定に基づいた上下関係のみの関係であると考える場合は、このメンバーは外集団に所属すると位置づけられる。他方で、メンバーがリーダーとの関係を単なる上下関係以上のものであり、特にはリーダーのために望んで職責以上のことを成し遂げようと考える場合には、このメンバーは内集団に所属すると考えられます。したがって、リーダーシップを発揮するためには、リーダーはメンバーをより多く内集団に所属させるように、メンバーとの関係を構築させていくことが求められるわけです。

ポジションパワー(position power)とパーソナルパワー(personal power)

リーダーシップは二つのパワーから成立します。一つはポジションパワーと呼ばれる地位や立場に基づく力。もう一つはパーソナルパワーと呼ばれる人間力です。

米国の社会心理学者、FrenchとRaven(1959)はのパワーの源泉として Legitimate Power (正当権力)、Reward Power (報酬力)、Coercive Power(強制力)、Expert Power (専門力)、Referent Power(同一視力)の5つを提唱します。このうち、ポジションパワーに該当するのは報酬力、強制力、正当権力であり、パーソナルパワーには専門力と同一視力が該当します。

権力を使う人をAさん、権力を使われる対象となる人をBさんとすると、各権力の具体的な内容は以下のようになります。

1報酬力:BさんはAさんからの報酬を得るために、Aさんの命令・要望に従います。例えば、上司がよく働く部下に報酬を与えるのは、報酬力を使っていることになります。

2強制力:BさんはAさんからの処罰を避けるために、Aさんの命令・要望に従います。例えば、遅刻した選手に対して監督が試合に出さずにベンチで待機させている場合、その監督は強制力を行使していることになります。

3正当権力:BさんはAさんがBさんに命令・要望するに相応しい地位や立場にある人物であると信じることから、Aさんの命令・要望に従います。例えば、法廷で判決を下す判事は、正当権力を使っていることになります。

4専門力:Bさんは、Aさんが最適な解決方法をするほどの専門知識を持っていると信じていることから、Aさんの命令・要望に従います。例えば、外国に詳しいツアーガイドは専門力を持っていることになります。

5同一視力:BさんはAさんを尊敬していたり、仲間のようであると思っており、Aさんの同意を得たいと思っていることから、Aさんの命令・要望に従います。例えば、生徒に尊敬される先生は、同一視力をもっているわけです。

 なお、ポジションパワーには上の3つ以外にも、重要な情報にアクセスしたり情報統制を行う等の情報力等があります。

(参考)French and Raven Power Taxonomy

Reward Power: The target person complies in order to abtain rewards controlled by the agent.

Coercive Power: The target complies in order to avoid punishments controlled by the agent.

Legitimate Power: The target person complies becaues he/she belives the agent has the right to make the request and the target person has the obligation to comply.

Expert Power: The target complies because he/she believes that the agent has special knowledge about the best way to do something.

Reference Power:THe target complies because he/she admires or identifies with the agent and wants to gain the agent's approval.

トランスフォーメーショナル(変革型)・リーダーシップ

トランスフォーメーショナル(変革的)・リーダーシップ(Transformational leadership) は1980年代以来、最も人気のあるリーダーシップ論の一つです。今までのリーダーシップ論と異なる点は、リーダーシップの概念を拡げ、部下の成長、倫理観及び価値観をリーダーシップの範疇に含めたことにあります。

したがって、Bass(1985)が主張するように、トランスフォーメーショナル・リーダーシップは、部下が目的を達成できるようにインスパイアする、明確なビジョンを創造するなどの、カリスマ的リーダーシップやビジョナリー・リーダーシップを含むと解されます。このトランスフォーメーショナル・リーダーシップと対比される概念がトランザクショナル・リーダーシップ(Transactional leadership)です。トランザクショナル・リーダーシップはリーダーと部下の関係はTransaction(取引)を基本とするという考え方であり、高いパフォーマンスには報酬を提供し、低いパフォーマンスには罰を与えるというものです。

トランスフォーメーショナル・リーダーシップは、MLQ(Multifactor Leadership Questionnaire)というアンケートによって、評価されます。このMLQでは、リーダーの行動を7つの指標で判断します。その7つとは、①カリスマ性②モチベーションを向上させること③知的刺激を与えること④思いやりがあること⑤褒賞⑥例外によるマネジメント(MBE)⑦レッセフェール(有りの侭に任せること)です。