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ネオリアリズムとは

今回は前回の続きで、ネオリアリズムの紹介です。

1970 年代の学界においては科学的アプローチへの関心が高まっていました。ケネス・ウォルツはリアリズムの中心的な考えを、科学的アプローチを利用した理論的枠 組みに作り変えることで、リアリズムを生き返らせようとします。それがネオリアリズムです。ウォルツはリアリズムを再定義し、国際関係の科学的アプローチ への橋渡しをしたと言えます。

ネオリアリズムのポイントは以下の3点になります。

第一に、政治秩序はヒエラルキー(階層制)とアナーキー(無秩序)の二種類があり、国際システムはアナーキーであるとします。

第二に、国際システムは、国家の特性よりもむしろ、構造的な観点から理解できるとします。したがって、人の本質でも、国内要因でもなく、国際構造が国家の行動を決定するのだと主張します。

第三に、国家は自己中心的で安全保障を最大化しようとするものであると仮定します。自然科学的アプローチをとったことで、ネオリアリズムは、合理的選択論と結びつきます。


それでは、古典的リアリズムと異なる点は何でしょうか?大きな違いとして二つ紹介します。

第 一に、古典的リアリズムは争いの一要因として人の本質を重視しますが、ネオリアリズムは人の本質は極めて抽象的なものであり不要だと考えます。第二に、古 典的リアリズムは現状打破国家と現状維持国家との違いを重視しますが、ネオリアリズムはすべての国家に違いなどなく、国家を一つの単位として考えます。