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Incident Management Team (IMT)のパフォーマンスの研究

IMTはIC(Incident Controller)、OO(Operations Officier)、PO(Planning Officer)、LO(Logistics Officer)からなる。研究の結果として分かったことは下記の通り。

1 ICは目的を伝えるが、詳細な方向性は伝えない場合と、目的を伝えずに詳細な指示だけ出す場合では、IMTのパフォーマンスは、目的だけを伝える場合のほうが良かった。

2 ICが多くのリソース(情報等)を持つ場合と、ICのリソースが限られている場合では、ICのリソースが限られている場合のほうが、IMTのパフォーマンスが良かった。情報量が多いほうが好ましいと考えられがちであるが、情報処理能力を上回る情報量がある場合、優先すべきタスクが優先されなくなってしまうからと考えられる。

3 パフォーマンスの高いチームと低いチームには以下のような差があった。
① 互いのコミュニケーションが取れており、他人が何をやっているかを把握できていた。
② パフォーマンスの高いチームは、火事の状況に応じて戦略を変更したが、低いチームは最初の戦略に固執した。
③ パフォーマンスの高いチームはワークロード(業務量)を把握し、ワークロードを最小化できるような調整を行っていた。

〇熟練度の高いIMTメンバーとのインタビューを通じて分かったこと。
IMTの最大の試練は、不確実性をマネージすること。この不確実性は情報量のオーバーロードかもしくは絶対に必要な情報が欠けているか疑わしいときに起こりうる。不確実性に対してより多くの情報を得ようとしたところで、必要な情報を時間内に得ることは難しく、意思決定の遅れがパフォーマンスの低下をもたらす。

〇インタビューで判明したいくつかの失敗の共通点。
1 IMTメンバーの経験不足が情報収集の障害となった場合
2 戦略プランが無かったため、新しい事象に場当たり的に対応した
3 情報共有が十分では無かったこと
4 メンバー間の協力や理解が不足しており、フラストレーションを溜めたこと。等々。

(参考)Decision Making Effectiveness in Wildfire Incident Management Teams (2006)