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(読書メモ)トランプの黒幕

共和党保守派についてまとめた良書。興味深いと思った点は以下のとおり。

 ○共和党の大統領予備選挙は、民主党に比較的近いリベラルな傾向を持つ党内主流派と、小さな政府の原理原則を貫く保守派の二つの派閥が争って決まることが通例となっている。今回の予備選においては、主流派(マルコ・ルビオ、ジョン・ケーシック)、保守派(テッド・クルーズ)、イレギュラーな候補としてのトランプによる争いとなった。事前予測では、主流派のケーシックとルビオならば、ヒラリー・クリントンに勝利する予測が出ていた。一方で、クルーズとトランプは敗北との予測であった。予備選を勝ち抜き共和党の指名を得たトランプであったが、事前予測では敗北である。しかしながら、「ヒラリーよりはマシ」との妥協が共和党保守派に働き、トランプは保守派の支持獲得に成功することとなる。これにより、トランプはヒラリーと渡り合える基盤を獲得することとなる。他方、ヒラリー陣営は自らの支持層の投票棄権や、リバタリアン党や緑の党への党の流出を防ぐことができなかった。実際に、ヒラリーの得票は、接戦州においては前回の大統領選挙のオバマの得票よりも激減している。したがって、トランプの勝利は、共和党保守派の支持獲得とヒラリー陣営の自滅によってもたらされたと考えられる。

 ○メディアがヒラリーの勝利を全体とする報道をしていた件に関し、そもそも大手のリベラルなメディア(CNN、Washington Post、New York Times等)は民主党支持であり、共和党保守派を敵視している。大手メディアと主流派は相対的に良好な関係であるが、保守派とは敵対関係にあり、このため、保守派に支持されたトランプに対し批判的な論調で報道することとなる。日本の報道は大手のリベラルなメディアの後追い報道でしかないため、日本国内でもヒラリー勝利を前提とする報道がされたと考えられる。

 ○共和党保守派は自らの政策を実現させるために、シンクタンクを設立し政策の立案や人材の育成を図っており、代表的なシンクタンクにはヘリテージ財団がある。米国は政治任用制度があることから、シンクタンクより人材を政権に送り込まれる。今回のトランプ当選によりヘリテージ財団からトランプ政権に人材が送り込まれると考えられる。

 (参考)「トランプの黒幕」渡瀬雄哉(祥伝社)