share-knowledge’s diary

英語論文やニュース等で私が面白いと思ったものをアップしていきます。

ディープフェィク(Deepfake)

フェイシャルマッピング(facial mapping)とAIを使い、ある人物が実際には行動していない若しくは発言していないにも関わらず、行動若しくは発言しているかのようなリアルな偽動画を作り出せる技術が出てきています。このような動画をディープフェイクと呼んでおり、この名称は人工知能のディープラーニングに由来しています。

AIはある人の画像や音声データをもとに、その人の顔の表情、動き方、声、話し方を学習して模倣することができます。つまり、十分な画像および音声データがあれば、誰の偽動画でも作ることができるわけです。

米国では安全保障や選挙介入に使われることを懸念しているようで、ルビオ議員は、外国機関により人種主義的な発言や違法行為をする議員の偽動画が作成されたり、海外で米軍が民間人を殺戮するような偽動画を作成されることで、米国社会に不信感や混沌を作り出し、選挙への介入や社会の分断を作り出そうとするのではないかと指摘しています。実際、BuzzFeedは今年初めにオバマ前大統領がトランプ大統領を批判する偽動画を公表しています。ダートマス大学のFarid氏は誰もが簡単にリアルに見える偽動画を作り出すことができることが問題で、見たものを信じることが難しい時代に入ろうとしている。また逆に、真実の動画を疑うようにならざるを得ないと述べています。

これに対し、DARPAは既に偽の画像と動画を特定するための技術開発を進めていますが、現在のところ、特定するための時間はかかるため、その間に、偽画像や偽動画が広がってしまう懸念があります。

(参考)‘Deepfake’ Videos: a New Weapon in Disinformation Wars

プロジェクト・メイブン(Project Maven)

Googleは、多数の社員の反対があったことから、参画していた国防省のAIパイロットプログラムProject Maven(プロジェクト・メイブン)から撤退することを発表しました。プロジェクト・メイブンは2017年4月に当時のボブ・ワーク国防副長官により、国防省のビックデータ、人工知能、機械学習の統合を進めることも目的として始まりました。

プロジェクト・メイブンはインテリジェンス担当国防次官の傘下のAWCFTAlgorithmic Warfare Cross-Functional Team)によって主導されており、その最初のタスクは国防省のアナリストの支援プログラムを作成することでした。国防省は日々の対ゲリラや対テロのオペレーションにより大量の動画・静止画データを収集しています。プロジェクト・メイブンでは、コンピュータビジョンのアルゴリズムを機械学習と深層学習により作成し、動画や静止画から“ターゲット”を自動的に抽出するためのシステムを構築していたようです。これにより、アナリストのパフォーマンスを現行の2~3倍に上げようとしていました。なお、このシステムがすでに作成され、導入されているかどうかについてはよく分かりません。Googleの撤退によりどのような影響があるかも不明ですが、2017年末までに最初のアルゴリズムをシステムに導入することになっていたようです。

(参考)

Project Maven to Deploy Computer Algorithms to War Zone by Year’s End

Project Maven Industry Day Pursues Artificial Intelligence for DoD Challenges

エコロボティクス(ecorobotix)

AI技術の発展は、農業の世界にも及んできています。スイスのエコロボティクスが開発した除草ロボットは、農作物と雑草を認識し、雑草のみに除草剤をスプレーすることで、除草剤を従来の20分の1以下にすることができます。また、完全自動システムであり、太陽光充電によりオペレーター無しに1日12時間まで稼働することができます。似たようなシステムで、搭載されたカメラにより雑草と農作物を区別する機械を開発したシリコンバレーのスタートアップBlue Riverは米国のトラクター会社Deere&Co.に3億500万ドルで買収されています。今後は、農業の世界においてもAI技術の適用による変化が生じる可能性があります。

ちなみに、以下がエコロボティクスの除草ロボットの動画になります。

www.youtube.com

 

DIUxとは

DIUxとは、米国国防省傘下のDefense Innovation Unit Experimentalのことでして、昨今の技術進歩に対応するため、民間のイノベーション力を国防に活かしていこうとして2016年に設立されました。この背景には、2018年の国防戦略(National Defense Strategy)にも記載されていますが、敵対国がイノベーションを生み出すグローバル市場に米国と同様にアクセスしていることから、米国の軍事技術の優勢性が失われつつあるとの危機感によるものです。DIUxの年間報告書にも記載されていますが、過去数十年間、キーテクノロジーは政府の研究機関などで開発されてきたものの、現在は民間セクターが先端技術をリードしています。すなわち、公的研究機関主導であった軍事技術革新は今や民間の技術革新をいかに取り入れていくかが重要になっているわけです。この民間技術の導入のために設立されたDIUxはカリフォルニアに本部を置き、テキサス、ボストン、ペンタゴンに支部があります。

DIUxの試みとして面白いのはリクルーティングでして、国防省の公務員のみで構成されているわけではなく、ベンチャー企業を立上げ売却した実績のあるメンバー、ホワイトハウス、国防長官府や統合参謀本部でチームを率いたことのあるメンバー、シリコンバレーの企業立上げを支援したメンバー等で構成されており、スタッフ構成の面からも革新技術の導入にあたって必要な組織づくりを進めている点にあると思います。

(参考)DIUxのホームページ https://www.diux.mil/

世界の軍需企業ランキング

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)より、2016年の軍需企業の売上に関する発表があり、5年連続で減少していた売上額が5年ぶりに上昇に転じ、2015年と比較して1.9%の増加であったとのことです。前年度に比べて増加した国としては、米国、英国、ロシア、ドイツ、韓国などであり、特に韓国は20%以上増加する一方、日本、イタリア、フランス等が前年度に比べて減少しています。

報告書における企業の売上順位トップ10は以下のとおりです。(なお、報告書自体はトップ100までの記載があります。)

1. ロッキードマーチン(米)

2. ボーイング(米)

3. レイセオン(米)

4. BAEシステムズ(英)

5. ノースロップ・グラマン(米)

6. ジェネラルダイナミクス(米)

7. エアバス(欧)

8. L―3コミュニケーションズ(米)

9. レオナルド(伊)

10.タレス(仏)

ちなみに、気を付けなればいけないことは、このランキングには中国企業が入っていないことです。SIPRIによると複数の中国企業がランキングに入ると思われますが、正確なデータが明らかになっていないため、含まれていないとのことです。

(参考)The SIPRI Top 100 arms‑producing and military services companies, 2016

画像認識(Large Scale Visual Recognition Challenge)

ImageNetは画像認識の国際大会(Large Scale Visual Recognition Challenge)を毎年開催しております。2012年の大会において、トロント大学のAlex Krizhevsky率いるチームが前年の記録であるエラー率25%を大幅に更新するエラー率15%を達成しました。その後、大幅に記録が更新されており、2017年の大会においては、中国のWMWがエラー率2.2%を記録しています。下記が2012年以降の推移になりますが、近年の中国の台頭が目覚ましいように思います。その一方で、2015年の3.5%から2017年に2.2%という進捗を見ると、客観的にみると画像認識の技術進歩は少し停滞しつつあるように思います。

 

エラー率の推移

2017       WMW(中国のベンチャー企業等のチーム)           0.02251

2016       Trimps-Soushen(中国公安部第三研究所のチーム)        0.02991

2015       MSRA(中国のチーム)                           0.03567

2014       GoogLeNet(グーグルのチーム)                  0.06656

2013       Clarifai(米国のスタートアップ企業)            0.11197

2012       SuperVision(トロント大学)                    0.15315

 

(参考)ImageNet  http://image-net.org/

 

DCGAN

DCGANとはDeep Convolutional Generative Adversarial Networksの頭文字をとったもので、Generator(贋作者)とDiscriminator(鑑定士)の二つのニューラルネットワークを持っています。この二つのニューラルネットワークが戦いあうことにより、本物のような画像が作成されます。

DiscriminatorCNNとして、本物か贋物を区別する役割をもっています。一方で、Generatorはランダムなデータを一つ画像に変換することで、贋作となる画像を生成します。Discriminatorは、本物の画像と贋作の画像を用いて、両者を鑑定します。Generatorが最初に作成する贋作の画像は、本物の画像とは似つかないものになるため、Discriminatorをだますことはできません。GeneratorDiscriminatorをだませるようになるまで、何度も訓練し贋作の画像の精度を上げていきます。最後には、Discriminatorは、本物の画像とGeneratorが作成した贋作の画像を見分けることができなくなります。この結果、贋作は本物の画像の特徴をうまくとらえたものになり、本物のような画像を作成できるわけです。

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(参考)https://www.oreilly.com/ideas/deep-convolutional-generative-adversarial-networks-with-tensorflow