share-knowledge’s diary

論文やニュース等で私が面白いと思ったものをアップしていきます。

ネオクラシカルリアリズム(新古典的現実主義)とは

ネオクラシカルリアリズム(新古典的現実主義)は、ネオリアリズムと同様に国際関係の構造的要因が国家の行動を決定すると考えますが、他方で国内要因や国家指導者の認識を考慮することを主張します。

ネオクラシカルリアリズム(新古典的現実主義)の名付け親であるギデオン・ローズは、ネオリアリズムが主張す る外交政策は国際社会における国家の立ち位置や力関係のような構造的要因によって決まるという立場に同意します。他方で、ネオリアリズムは国家の政治制度 (民主主義か独裁主義etc)や国家指導者の考え方などは国家の行動に影響しないとしていましたが、ネオクラシカルリアリズムは、国内要因に着目していた クラシカルリアリズム(古典的現実主義)の考え方を取り入れます。クラシカルリアリズムは、国家の政治制度(民主主義か独裁主義etc)や国家指導者の考 え方も国家の行動に影響すると考えていました。このように、ネオリアリズムとネオクラシカルリアリズムの両特性を有することから、ネオクラシカルリアリズ ムと名付けられるわけです。

ネオクラシカルリアリズムは、構造的要因は、政策決定者の認識等を経ることになるため、構造的要因の影響は間 接的だとするわけです。例えば、1860年代の欧州ではビスマルクの尽力の下、プロイセンがパワーを強大化していました。そして、プロイセンはオーストリ ア帝国と戦争を開始します。(普墺戦争)当時のフランス皇帝ナポレオン3世はプロイセンのパワーを十分に認識できず、普墺戦争でオーストリアが敗北すると は想定していませんでした。ネオリアリズムの理論にしたがえば、フランス、プロイセン、オーストリアのパワー分布を理解でき、フランスはオーストリアと連 携することでプロイセンへの牽制をしたはずです。しかしながら、現実にはナポレオン3世はプロイセンのパワーを過小評価していたため、オーストリアとの連 携強化という選択肢を見過ごしてしまうわけです。

このように、国際政治における力関係の構造的要因は重要ではあるのですが、国家指導者がうまく認識できないことにより、必ずしも直接的影響を及ぼせるというわけではないのです。数式で述べるならば、以下のようなイメージです。

ネオリアリズム

構造的要因=国家の行動

ネオクラシカルリアリズム

構造的要因±(国家指導者の認識)±(国家の国内要因)=国家の行動