share-knowledge’s diary

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取締役会のパフォーマンス

○取締役会のパフォーマンスに関して
取締役会のパフォーマンスには、effort norms、cognitive conflicts、knowledge and skillの3つが関わってくる。

①effort norms(役員がどの程度、会社に貢献する努力をしようと考えているか)
②cognitive conflicts(役員間における見解やアイディアの違いによって生じる対立)
③knowledge and skill (役員が持つ知識と技量のことで大きく二つある。一つは専門知識と専門スキルであり、もう一つはその会社でのみ通じる知識とスキルである。特に後者は暗黙知であると考えられる)

これら3つは相互に作用してパフォーマンスに影響する。Effort normsとKnowledge and skillは直接的に取締役会へのパフォーマンスに良い影響を及ぼすが、cognitive conflictは下記に述べるように集団思考を妨げる効果をもつ一方で、取締役会の団結力を阻害することから、間接的に負の影響をもつ。

○取締役会の結束力に関して
取締役会の結束力が高い場合、意思決定に悪い影響を及ぼす可能性がある。これは結束力が高いほど、非合理な決定をもたらすgroupthink (集団思考)に至る可能性があるからである。なお、Janis (1983)は、結束力の高いメンバーは"mindguards"(意識的もしく無意識的に情報を制限し、選択肢を限定させること)となり、異なった考えをもつメンバーにたいして、多数の意見に従うようにプレッシャーをかけることで、集団思考が生まれるとする。したがって、cognitive conflictは意見対立を生むことで、集団思考を妨げる効果を有すると考えられる。

○取締役会の多様性に関して
役員は、社外取締役を含めて様々なバックグランドをもつ人々から構成される場合が多い。この多様性は、諸刃の剣と考えられる。様々な知識や経験を集約できる一方で、相手の専門領域を知らないことから、役員間の対立を生じさせる可能性が高いからである。多様性のある取締役会は、調整の困難さに直面せざるを得ない。

(参考)Forbes, D. P., & Milliken, F. J. (1999). Cognition and corporate governance: Understanding boards of directors as strategic decision-making groups. Academy of Management Review, 24, 489-505