share-knowledge’s diary

論文やニュース等で私が面白いと思ったものをアップしていきます。

良い失敗と悪い失敗

失敗は3つのカテゴリーに分けられます。
一つ目は、予防可能な失敗です。これは単純ミスが挙げられます。失敗の要因は、従業員に対する不十分なトレーニング、従業員の不注意や能力不足が考えられます。但し、この失敗は、チェックリストを使う等で改善することは容易にできます。これは悪い失敗です。

二つ目の失敗は、複雑なシステムや制度を構築したことによって生じる失敗です。
実践を繰り返すことで失敗のリスクは下がるかもしれませんが、小さな失敗を完全に防ぐことは困難です。小さな失敗の積み重ねが、大きな問題へと発展する可能性があります。例えば、病院における問題の大部分は、患者へのケアに対する小さな失敗から生じています。これも一つ目と同様に悪い失敗です。

三つ目の失敗は、未知の分野における積極的な失敗です。この失敗は価値のある知識を与え、競争力の強化や将来の成長をもたらします。新薬の発見、新しいビジネスの創出、新しい製品の開発などは、積極的な失敗によてもたらされるものだと考えられます。したがって、これは良い失敗です。

個人や組織にとって重要なことは、失敗が良い失敗なのか悪い失敗なのかをしっかりと認識することです。

(参考)The HBR Channel " Distinguish Good Failures from Bad Ones"

ちなみに、英語は下記のような文章です。なので、だいぶ意訳しています。

1 Preventable failures in predictable operations
2 Unavoidable failures in complex systems
3 Intelligent failures at the frontier

 

マズローの5段階欲求とは

マズローは人の欲求は5つの階層が存在するとします。その5つの階層とは、下から生理的欲求、安全への欲求、愛への欲求、自己承認欲求、自己実現欲求です。下層の欲求が満たされない限り、上層の欲求が満たされることは無いというのがマズローの主張です。例えば、生理的欲求が満たされない場合には、自己承認欲求が満たされることは無いわけです。下記では各欲求が何を意味しているかを紹介します。
(1)生理的欲求:これは人が生存するにおいて不可欠なものに対する欲求です。マズローは”食”に対する欲求を生理的欲求の代表として挙げています。
(2)安全への欲求:人は生理的欲求を満たした場合、次に自らの生存のために安全を求めるようになります。
(3)愛への欲求:これは誰かを愛したり、愛さること、もしくは何かに帰属することを求める欲求です。
(4)自己承認欲求:すべての人は、自分自身に対する肯定的な評価と他人からの肯定的な評価を求めるとマズローは考えます。
(5)自己実現欲求:これらの欲求が全て満たされた場合、もし人が自分のやりたいことをやっていない場合に、新たな不満が現れます。これが自己実現欲求であり、例えば、ミュージシャンが音楽を作り、アーティストが絵を描き、詩人が詩を書くというというのも、自己実現欲求に基づくものです。

(参照)Maslow(1943) "A THEORY OF HUMAN MOTIVATION"

相関分析とは

相関分析の目的は、変数(例えばAとB)の間に相関関係があるかどうかを調べることです。SPSSを使った場合は、Person r correlation coefficient (ピアソンの相関係数)でその相関関係の強さが出されます。このrの大きさは0~1の間で示されます。

単純にr=1だと完全に相関関係があるということになり、r=0の場合は相関関係は全くないということになります。r=1の場合はほぼ無いため、rの大きさがどの程度だと相関関係が強いといえるかはいろいろ議論があります。

ここでは、参考にDancy and Reidy (2004)のカテゴリーを紹介します。

(1)rが1の場合は、完璧な相関関係がある

(2)rが0.7~0.9の場合は、強い相関関係。

(3)rが0.4~0.6の場合は、適度な相関関係がある。

(4)rが0.1~0.3の場合は、弱い相関関係がある。

(5)rがの場合は、相関関係は全くない。

 

(参考)Dacey and Reidy (2004) Statistics Without Maths for Psychology: Using SPSS for Windows

ジンバブエドルのレート

超ハイパーインフレのため、価値が大暴落していたジンバブエドルですが、ついに廃止になるようです。近年では、米ドルか南アフリカランドが使われており、ジンバブエドルはお土産として扱われる程度でしたので、廃止になっても経済的影響は限られていると思います。

ちなみに、今のレートは、5米ドル=17京5千兆ジンバブエドルらしいので、1ドルを100円換算すると、1円が350兆ジンバブエドルになります。

(参考)BBC NEWS "Zimbabwe dollars phased out"
 http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-33105400

Equity theory (エクイティ理論)とは

エクイティ理論(公平理論)はAdams(1963)によって提唱された理論です。

人は、自分の仕事量・スキル・努力等に対して得ることのできる報酬や便益等は、他人が仕事量・スキル・努力から得ている報酬や便益等と比べた場合に、公平であることを望みます。

したがって、人がもし自らの仕事量や努力から得られる報酬が、他人の仕事量や努力から得られる報酬に比べて、少なくて不公平であると認識した場合、その人はこれを不満に思い、その不公平感を無くそうとします。例えば、自分の仕事への努力を減らしたり、他人の努力等を妨害することで、その不公平感を無くそうとするわけです。

不公平感を無くそうとするモチベーションは、彼らがどの程度不公平であると認識しているかによります。不公平が大きいと感じる場合は、不公平感を無くそうとするモチベーションは高くなりますし、それほど不公平感が無いと感じる場合には、不公平を無くそうとするモチベーションは小さくなるわけです。

(参考)Adams (1963) Toward an understanding of inequity

フリーメイソンとは

フリーメイソンというと、何やら怪しげな秘密結社というイメージがありますが、ロンドンのコベントガーデンには英国フリーメイソンの総本山であるFreemasons'Hall (フリーメイソンズホール)があります。このFreemasons's Hallは1933年に建てられたアールデコ調の建物であり、中にはフリーメイソンにまつわる博物館と図書館があります。無料で観覧できることもあり、見学したことがありますが、もっと怪しげな博物館かと思ったのですが、スタッフはとてもオープンマインドであり、隠れた見どころでは無いかという感想を持ちました。なお、フリーメイソンは所属する会員のことを指し、結社の本当の名称はFreemasonry(フリーメイソンリー)なのだそうです。というわけで、以下では組織名はフリーメイソンリーを使用します。

ではフリーメイソンリーとは何なのでしょうか。もしかしたら、やっぱり秘密結社でしたという可能性もゼロではありませんが、ここでは博物館等で得た知識ベースで紹介します。
世界中にフリーメイソンは約600万人いるようですが、英国のフリーメイソンリーは25万人の会員と8000のロッジ(支部)を所有しています。フリーメイソンの会員の目的は様々のようで、交友関係を拡げることが目的である会員もいれば、フリーメイソンリーを通じて社会に貢献したいというものもいるとのことです。フリーメイソンリーは世界で最も古い、無宗教、ノンポリ、友愛組合、チャリティー団体
であり、人種、肌の色、宗教、イデオロギーや社会的地位に基づく差別は一切ないと主張しています。
なかなか不可思議な組織なのですが、このフリーメイソンリーがいつ、どこで、どのようにして設立されたかはいろいろと議論があるようですが、一般的なコンセンサスは、中世の教会や城などを建てたStone mason(石工)の組合が発祥だそうです。その後、ロッジ(支部)が石工以外のものも組織に入ることを認め、例えば、スコットランドの政治家・軍人であったRovert Morayも1641年にニューカッスルにおいて、フリーメイソンになったとされています。
その後、1717年に4つのロンドンのロッジが集まり、自らをグランドロッジを名乗り、グランドマスターを選ぶと宣言しました。これが世界で初めてのグランドロッジであり、定期的な会議や活動規範のルールブックが発行されることとなりました。
他方で、"Ancients Grand Lodge"と称するグランドロッジがロンドンに設立されたこともあり、60年間にわたり二つのグランドロッジが存在する状態となりましたが、1813年に統合され現在に至るようです。
というわけで、秘密結社というよりは社交クラブという印象が強いフリーメイソナリーですが、その活動は多岐にわたるようです。会員同士の社交を深めるために、毎月のパブでの飲み会やピクニックなども行うようです。また、フリーメイソンズホールではファッションショー等のイベントが行われ、チャリティー活動も行っているようです。
やはり秘密結社というよりは社交クラブという言葉のほうがしっくりくるのですが、
会員になるには社交クラブと同様に各ロッジのフリーメイソンたちからの推薦が必要なようです。そもそも日本でフリーメイソンを名乗る人に会ったことが無いので、どうやって推薦を取るのでしょうか。。こればかりはよく分かりません。

目標設定理論(Goal setting theory)とは

目標を設定することにより、人のモチベ―ジョンが向上し、パフォーマンスが上げるとされており、組織心理学の分野では長い間研究されてきました。
Loche and Lathan (1990) によれば、困難でありかつ明確な目標は、簡単であり曖昧な目標もしくは目標がない場合よりも、より高いパフォーマンスに繋がるとします。他方で、簡単な目標は、高い満足度を示すことも主張します。したがって、簡単すぎず難しすぎない水準に設定することが重要なわけです。
また、目標の水準を継続的かつ段階的に上げていくことが、目標設定において最も重要となります。トヨタの”カイゼン”はまさにこの原理に基づいたものだと考えれます。